- 美容師インタビュー | 2018.05.10
【大阪・中崎の美容室HIKARIS hair NAKAZAKI】お客さまと一緒に新しくなれる仕事
みなさんこんにちは。
ヘアドレPress編集部の大迫です。
今回は、大阪中崎エリアにある美容室「HIKARIS hair NAKAZAKI (ヒカリスヘアー ナカザキ)」にお邪魔しました。
大阪中崎の美容室「HIKARIS hair NAKAZAKI (ヒカリスヘアー ナカザキ)」のご紹介
サロンデータ
営業時間 | 平日 11:00~20:30 ※パーマ・カラー19:30まで 土日祝 10:00~19:00 ※パーマ・カラー18:00まで |
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定休日 | 毎週月曜日 |
住所 | 大阪市北区中崎西2-5-21CB中崎町2F |
席数 | セット面8席 |
メニュー・料金 |
カット:¥5,940(税込) カラー:¥6,480(税込)〜 ※別途ミディアム~ロング料金あり パーマ:¥6,480(税込)〜 ※別途ミディアム~ロング料金あり 詳しくはコチラ>> |
スタッフ数 | スタイリスト3人/アシスタント1人 |
交通アクセス | 地下鉄谷町線 中崎町駅より徒歩5分 |
サロンの特徴 | 19時以降の受付OK/最寄駅から徒歩3分以内 |
サロン周辺地図
このHIKARIS hair NAKAZAKIでディレクターとして働く木下晴仁さんは、高い技術と気さくな人柄に定評がある美容師さんです。
初対面でも親しみやすく、笑いを交えてお話ししてくれました。
ところが新人のころの木下さんは、お客さまと話すことが苦手だったそうです。
苦手なことを克服するために、何を考えどんな努力をしたのでしょうか?
木下さんのこれまでの経験を通して聞きました。
美容師の道から外れて得られたもの
美容師になったきっかけを教えてください。
中学生のころに母親にはじめて連れて行ってもらったサロンの美容師さんが、めっちゃ優しくてきれいだったんです(笑)
思春期の男の子なら、きれいな年上の女性ってあこがれますよね。
そのころからなんとなく美容師になりたいと思っていました。
それに母が教育熱心だったことも関係していると思います。
ある日、僕が高校から帰ってくると、部屋に知らない家庭教師のお兄さんがいたこともありました。
勉強嫌いの僕にいきなり家庭教師をつけてまで、大学に行かせたかったんです。
そんな母の想いとは裏腹に、美容師になろうという気持ちが強くなり、大阪の美容専門学校に進学しました。
卒業後はずっとHIKARIS hairで働かれているのでしょうか?
最初に就職したのは、実はHIKARIS hairじゃないんですよ。
生駒にある別のサロンで働きはじめました。
ところがお客さまに接してみて、僕はまともにしゃべることもできず、知らないことが多すぎると思うようになりました。
僕はそれまでアルバイトもしたことがなくて、世間知らずだったんです。
そこで、2年近く働いた22歳のとき、美容の世界から一度、離れてみることにしました。
24歳までという期限を決めて、美容以外の仕事をとことんやってみようと思ったんです。
一生美容師をしていくなら、今のうちにさまざまな仕事で経験を積んだほうが、サロンのお客さまとも楽しくコミュニケーションが取れるようになると思いました。
どんな仕事をしたのですか?
いろんな仕事をやりました。
昼は建設現場の作業員、夜はカラオケ店の店員というように昼と夜で別々の仕事を掛け持ちしていました。
できるだけ多くの仕事をしてみたかったので、半年で業種を変えていきました。
ホステスさんが働いているお店で、髪をセットしていたこともあります。
ある運送会社は、新しく入ってきた人が3日以上続かない厳しい職場だったので、僕が半年間ずっと新人扱いでした。
怒られることも多かったですが、どの職場でも僕が困っていると誰かが助けてくれました。
その経験から、自分も困っている人を助けたいという意識が、今の仕事の基盤になっていると思います。
人の話も聞き入れられるようになりました。
大学に進学してほしいという母の願いを聞き入れなかったように、僕は以前、人の話を聞かず自分の意見ばかり主張していました。
いろんな仕事で経験を重ねて、視野が広がったんだと思います。
▲広い窓とモダンな空間が広がるの店内
美容師は美容の悩みを解決する医者のような存在
その後、美容師としてHIKARIS hairで働きはじめて、どんなことを大事にするようになりましたか?
予定より半年ほど伸びましたが、25歳のときに美容の世界に戻ってきました。
特に心がけているのは、お客さまの美容に関する悩みを解消するということです。
体の調子が悪くなったら医者に診てもらうように、美容師というのは髪やヘアースタイル、メイクなど美容に関するすべての困ったことを解消する存在だと思っています。
そのうえで自分の色を出していくというか、新しい提案をしていきます。
お客さまには具体的にどんなことをお聞きするのでしょうか?
お客さまが誰にどう見られたいかということは必ずうかがっています。
彼氏や旦那さんに好かれたいのか、職場の女性にかわいいねって言ってもらいたいのか、片想いしている相手にきれいだと思われたいのか。
そこがズレていると、いくら似合っているヘアスタイルでも、満足できずに悩みを抱えたままです。
男性と女性では、「かわいい」の基準がちがうんです。
例えば、前髪をかなり短くすると、一般的に男性ウケはよくありませんが、女性からは「すごくかわいいっ!!」と好評なんですよね。
誰にどう見られたいかもお客さまと共有して、ヘアデザインを提供したいと思っています。
お客さまとうまく話すために重ねた努力
▲木下さんのお客様 みなさん笑顔が印象的♪
お客さまの満足を優先しようとは、美容師になったばかりのころはあまり考えていなかったのでしょうか?
そうですね。
はじめのサロンで働いていたときは、「自分の理想とする女性のヘアスタイルをつくる」という意識しかなくて、女性のお客さまにはコンサバなスタイルばかり提案していました。
今は身近な女性スタッフや妻の意見を聞いたり、美容の専門誌を見たりして、女性の視点も積極的に取り入れるようにしています。
明るく話している様子からは想像できませんが、お客さまとの会話は、はじめから得意だったわけではないんですよね?
新人のころは、お客さまと話をすることがほんとに苦手でした。
スムーズに会話ができるように、女性スタッフと会話しているとき「うんうん、そやね、わかる」と相槌を打つ練習もしていたんですよ(笑)。
はじめに勤めたサロンでは、アシスタントとして先輩を手伝っているときに、お客さまの後ろに無言で立っていたこともあります。
その僕の挙動不審な様子に、「リラックスできない」とお客さまに言われてしまいました。
なんとか話ができるようになろうと思って、サロンにあった雑誌を読み漁りました。
あるお客さまが、興福寺の情報が載っているページに目を止めていたので、僕も実際に行ってみました。
その方が次にご来店されたときに、お寺の話をしてみたら、とてもよろこんでくださりました。
お客さまのことを深く知ることを心がけるうちに、自然と会話ができるようになりました。
今ではお客さまとのコミュニケーションを楽しんでいます。
サロンワークでもクリエイションはできる
クリエイション活動(モデルを使って前衛的なヘアデザインをつくること)にも、取り組まれてきたそうですね
クリエイション活動は、いろんな技術やデザインをお客さまに施術する前にチャレンジできるのがいいですね。
例えばブリーチは3回すると髪が切れてしまうとか、大胆なバランスのデザインとか、実際に試してみることができます。
そこでお客さまに施して大丈夫だと確信することが、クリエイション活動に取り組む意味だと思っています。
▲過去に受賞されたコンテストトロフィーの数々
木下さんは2010年の三都杯(全国でも高い難易度をほこる美容師の技術を競うコンテスト)で決勝に進出しておられます。
そのときもサロンワークにつながるものが得られましたか?
▲2010年 三都杯決勝大会出場時の様子
決勝戦では力を出し切ることができず、グランプリには遠かった気がします。
あのときの悔しい経験は、今でもトラウマになっています。
だから得たものより、失ったもののほうが大きい(笑)
というのは冗談ですが、三都杯の決勝まで行けて自信がつきましたし、サロンの後輩たちの教育をもっと充実させて、みんなでレベルを上げていこうと思うきっかけになりました。
その後、後輩たちが三都杯に挑戦するようになって、結果を残してくれています。
コンテストに限らず新しいことに挑戦して、後輩たちが通りやすい道をつくっていくことも僕の役目だと思っています。
コンテストに参加して作品をつくることは、美容師として高みを目指すモチベーションになるということですか?
たしかにそういう面もあります。
ただ、コンテストなどで作品をつくることだけが、クリエイション活動ではないと思います。
クリエイションというのは創造という意味ですよね。
新しいもの生み出すという意味では、毎日サロンでやっているんですよ。
お客さまにとって新しいことを、何かひとつでも僕ら美容師がしてあげることも、クリエイションやと思っています。
だからコンテストや作品の撮影だけじゃなくて、サロンワークの中でもクリエイションはできるんです。
新しいことに挑戦されたお客さまで、特に印象に残っている方について教えてください。
ある30代の女性のお客さまが、長かった髪をショートにされました。
その方は高校のときに一度、ショートにしたのですが、思っていたものとはかけ離れた残念な感じになったそうです。
今30代の方って、10代のころに内田有紀さんとか広末涼子さんが人気で、同じようなショートスタイルにした人が多かったんです。
でも当時は、カラーもストレートパーマも、高い技術を持っている美容師は多くありませんでした。
思い描いた通りにならず、自分にはショートが似合わないんだとトラウマになってしまった人が多いと思います。
美容師がつくってしまったトラウマを解消するのも美容師の仕事やと思っています。
それに服装や化粧の感じが変わったり、歳を重ねたりすることで、似合うヘアスタイルも変わってきます。
これまで鍛えてきた技術で「今だから似合うヘアスタイル」をつくっていきたいです。
今だから必要な、新しい時代のサロンをつくる
▲ヒカリスヘア スタッフのみなさん
HIKARIS hairの理念は「人と時代に似合わせる」だそうですね。
木下さんはまさにその理念を実践しておられるように思います。
HIKARIS hairは2020年に創業90周年を迎えます。
これほど長く続けてこられたのは、多くのお客さまに選んでいただけているからです。
僕を含めてこれまで働いてきたスタッフたちが、いいものを残しながら「人と時代に似合わせる」ことを続けてきた成果だと思っています。
美容師は小さなお子さまの初カットから、成人式、結婚式などそれぞれのお客さまの人生の節目に携わることができる、素晴らしい仕事だと思っています。
本店のお客さまの中には、3世代や4世代にわたって通ってくれている方もめずらしくありません。
僕もこれから、お客さまと世代を越えて付き合っていきたいです。
それが結果的に、HIKARIS hair 90周年の、さらにその先につながれば嬉しいですね。
木下さんご自身は具体的にどんな展望を持っていますか?
僕はもうすぐ40歳になります。
ですから今のうちに美容の分野で新しいことに挑戦したいんです。
例えば、子どもを預けられる保育施設と一緒になったサロンがあれば、小さな子どもがいる女性は助かるはずです。
子どもを預けて髪の毛を整え、そのまま買い物に出かけることができます。
僕も二人の娘がいるのでよくわかるのですが、気軽に子どもを預けられる施設が不足していると感じます。
妻も小さな子どもを連れてサロンに行くことが難しかったようです。
HIKARIS hairの本店に長く通ってくれていたお客さまが、ご高齢で店舗に来られなくなったそうです。
そういったお客さまのために何かできないかと考え、訪問美容の勉強もはじめました。
高齢の祖母が入院していたときに、僕が病院に行って髪を切ってあげたこともあります。
そして写真を撮ったとき、祖母は指でつくった輪っかを目の周りに当てるポーズをしました。
はじめはふざけているだけなのかと思ったのですが、あれは目の周りがやせてくぼんでいることを隠したかったんですね。
祖母は髪を切ったことで、よりきれいに写真に写りたいと思ったようです。
▲病室で祖母の髪を切る木下さん
女性はいくつになっても美しくありたいんやとあらためて実感しました。
美しくありたいという意識を呼び起こす力を、美容師は持っているんですね。
訪問美容で病院などに行き、髪を切ったりセットしたりすることもできたらいいと思います。
具体的にどんな形になるのか、HIKARISの先輩たちと相談しながら話をすすめている最中です。
将来的には、これまでサロンを利用することが難しかった人が、より美しくなれるようなサービスを提供していきたいです。
▲木下さんと宇高さん。美容師同士の仲も良く、あたたかい雰囲気のサロン
木下さんの上司にあたる宇高楊子さん(HIKARIS hair 統括マネージャー)によると、木下さんは、とても優しい手つきでお客さまの髪の毛を扱うそうです。
「きーやん(木下さん)のお客さまは、幸せな気分になると思います」と話していました。
木下さんに聞くと、髪の毛の触り方ひとつにも気をつけてお客さまに接しているそうです。
高い技術と楽しいコミュニケーションで、私も幸せな気分になってみたいと思いました。
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