- 美容師インタビュー | 2018.11.07
目の前の人をかわいくすることがなによりも大切。期待以上のスタイルを提案しつづける美容師【snob enVAmp玉置明日香】
河原町四条の交差点(阪急京都線河原町駅)から、三条方面に歩き、1つ目の信号(蛸薬師交差点)を超えた左側。 1FはCDショップの清水屋ビル2Fがsnob enVAmpです。
デザインサロンとして幅広い層に支持されており、高級感のある店内は一歩足を踏みいれただけで期待感が膨らみます。
▲店内にいるだけで期待が膨らむ。
▲高級感のある待合室。
今回お話をうかがうのは、関西最難関と言われるコンテスト三都杯で2016年にグランプリを受賞し、サロンワークだけでなくヘアショーやセミナーの講師など幅広く活躍する美容師、玉置明日香さんです。
お客さまの期待のさらに上を行く提案をしたいという玉置さんのサロンワークやデザインへの思いについてお伺いしました。
ヘアデザインを楽しんでほしいからこそ、接客もケアも怠らない
snob enVAmpさんのほかのサロンとは違う特徴を教えてください。
snobは流行の最先端を行くデザインを研究しつづけていて、つねに新鮮なデザインを提供できると自信を持っています。
デザインサロンと聞くと敷居が高く感じられるかもしれませんが、来られるお客さまの年齢層やジャンルはすごく幅広いんですよ。
いろんな方に受け入れていただいているのはスタッフが気取らずにお客さまに接すること、どんな人にも新鮮なデザインを提案し作りつづけることを大事にしているからだと思います。
また、デザインを楽しんでほしいからこそケアにもすごく力を入れています。
snobにはトリートメントの研究チームもあり、パーマやカラーでデザインもしながら髪質もさらによくしていくケアの提案もしています。
カウンセリングではどのようなことに気をつけていますか?
お客さまに対して勝手なイメージを持たないようにすることはすごく気をつけていますね。
お客さまは「きれいになりたい」「コンプレックスをどうにかしたい」などさまざまな思いを持ち、なにか変わることを期待してこのサロンを選んでくださっていると思うんです。
期待しているからこそ、美容師にはデリケートな悩みを相談したいと思っていたり、わかってほしい思うことがあるんじゃないでしょうか。
だからお客さまが話しやすいようにリラックスしていただけるようにすることはすごく大切なことなんです。
なので、来店してすぐは緊張されているかなと思ったらさきにシャンプーしてもらうとか、カウンセリングの時間だけでなくカット中の会話から悩みや要望が聞けることもあるので、その人のペースに合わせて話すようにしています。
サロンワークにはどのような喜びがありますか?
▲玉置さんが担当したお客さま。
たくさんサロンがあるなかで、ここを選んでくださることがほんとうにうれしいんです。
ありがたいことにInstagramでわたしのことを知ってくださって、ご予約を受けることも多いです。
先日、Instagramを見たと言って台湾から来てくださった方がいて、ほかにも北海道や四国などSNSを通じて遠方から来ていただくこともあります。
わたしはその感謝をスタイルを作ることで返したいので、お客さまの期待を超えたスタイルを提供できるように研究しつづけています。
はじめて来店される方は写真など持ってきていただいたりするので、それを元にカットしていくんですが、写真をそのまま真似するのではなくその写真よりもっとかわいいスタイルになるようにアレンジの提案もしています。
通っていただいている方はおまかせしていただくことも多いですね。
来店前にこの人にはこんなヘアデザインが似合いそうだなとか、事前に考えておくこともあります。
もちろん、来店された時の雰囲気や髪の毛の状態でガラリとその考えを変えることもあるんですけど(笑)
信用してもらえているから任せていただけるんだと思うので、自分を磨いておかなければという、いい意味で使命感を感じます。
スタイルが変わることでおしゃれの幅が広がる
どうして美容師になろうと思ったのでしょうか?
学生時代からおしゃれが大好きで洋裁の仕事をしている祖母といっしょに服を作ったりしていました。
高校1年生までは服飾の専門学校に行こうと思っていたんです。
でも高校2年生のとき、近所に新しい美容室ができて行ってみたら、コンプレックスだったクセ毛を活かしたスタイルを作ってくれました。
それまでわたしはこのクセ毛をかわいくできるなんて思っていなかったのでヘアスタイルを除いたおしゃれしかしてこなかったんですが、髪型が変わったことで着ていた服がよりかわいく見えて、衝撃を受けました。
そのときにわたしも美容師になりたいと思って、専門学校に行くことを決意しました。
専門学校卒業してすぐsnobさんに入られたんですか?
いえ、卒業してすぐは大阪のミナミにある美容室で1年半くらい働いていました。
じつは一度snobに応募していたんですけど、当時募集が殺到していたみたいで結局面接を受けられなかったんです。
それから大阪で行きたい美容室が見つかって入ることができたんですけど、snobに入りたいという思いを捨てられず、入ったお店は辞めてsnobの面接に来たんです。
面接の場で採用が決まり、憧れだったこのお店で働けることになりました。
▲スタッフのみなさんで淡路島に社員旅行中のお写真。
コンテストで培った、意外な魅力を引きだすデザイン力
2017年12月にQuartet vol.6(関西の実力派ヘアサロンがコラボレーションし新しい世界観を表現する実験的なヘアショー)に出演されたんですよね。Instagramで拝読したんですが、モデルさんのスカウトの話がすごく印象的でした。
元々は、別のお客さまからの紹介でお店に来てくださった方だったんですけど、わたしが一目惚れしてしまって、モデルさんになってもらえないかとお願いしたんです。
どうしても「ステージ上でかわいくしたい」って。
結局、わたしの想いに応えてくださり、髪を切るために来店されたのに、そのまま返してしまいましたね。
ヘアショーまで3か月くらいあったのに、伸ばしてくださったんですよ。
自分が高校生のときに衝撃を受けたように、観にきてくださった方が感動したり衝撃を受けたりするようなステージをこの人となら一緒に作れると思ったんです。
▲2017年12月に行われたヘアショー「Quartet vol.6」の玉置さんの作品。
2016年は関西で最難関と言われるコンテスト三都杯にグランプリを受賞、2017年のTREND VISION award(グローバルで活躍できる若手スタイリストの発掘と育成を目的としたコンテスト)では優勝し日本代表として世界大会に出場されました。失敗の許されない場所で作品を作ることは緊張しませんか?
変な感覚なんですけど、本番は緊張しないんです。
本番中は目のまえのモデルさんを制限時間内にかわいくしなければということで頭がいっぱいになってしまっているんだと思います。
もともと人前に出るのは苦手なタイプで、小さい頃にピアノを習っていたんですけど、発表会では緊張してステージ上で泣いてしまうような子でした。
でも美容師としての自分だと、目の前の人をかわいくする、その人とすてきな出来事を起こしたいっていう気持ちが自分のなかで大きく強くなっているんです。
大勢の前でカットする緊張とか賞を狙う焦りとか、そういう気持ちがないわけではないですが、本質じゃないなと思っています。
どんな場所でもだれであっても、いちばん大事なのは目の前の人に喜んでもらえるように似合わせることというのが揺るがなく自分のなかにありますね。
▲2016年三都杯でグランプリが決まったときの様子。ステージに立ったモデルさんとオーナーの吉田隆司とともに優勝を喜んだ。
▲2017年のTREND VISION awardで優勝。日本代表として世界大会に出場。
賞をいただけたのは、自分の力というよりは協力してくれたみんながいてくれたからこそで、みんなで獲ったという気持ちが大きいです。
わたし自身は不器用なタイプで失敗を重ねてきているんですけど、お店にもサポートしてもらったり、スタッフに仕込みをいっしょにやってもらったりしているんです。
わたしがコンテストの場で短い制限時間内でも恐れず切りすすめていく力や、その人の意外な魅力を引きだすためのデザイン力を培えたのもそういう協力があったからだと思います。
みんなのおかげで培えた力があるから、わたしはどんな人が来ても怖くありません。
▲店内にはたくさんのトロフィーが飾られている。
意外な魅力を引きだすデザインってすごく気になりますね。お客さまのスタイルを作るときはどんなところを意識しますか?
デザインサロンなのでオリジナリティのあるスタイル作りを意識していて、あえて違和感を強調させることもあります。
ふつうに歩いているときにぱっと振り返られるような、人をドキッとさせるようなデザインをつねに目指しています。
そういうスタイルって自分に似合うか心配という方もいるかもしれませんが、ちょっと踏みこんだスタイルでもお客さまにフィットさせるようにカットするというのが「似合わせ」の技術で、デザインだけでなくちゃんとその人に合ったスタイルにすることは大事にしています。
たとえば骨格や目の幅など、顔周りをフィットさせればデザインだけが浮いてしまうということはありません。
わたしは女性美容師として「エッジが効いているけどその人に似合わせられる柔軟性」を出していければいいなと思っています。
プライベートはどのように過ごされるのですか?
休みの日もとにかく外に出るようにしていますね。
新しいものを観にいったりいろんな人と会ったりしてつねに自分に刺激を与えるようにしています。
お客さまに「たまちゃんは美容が好きなのは十分伝わるから、遊ぶ義務があるよ」と言われたことがあるんです。
それを聞いていろんなところに行ったり彩りのいいものを見たりすることは、自分自身の魅力を磨くことにつながるんだなと気づきました。
それまではぜったいにリラックスできる場所に行くとか、安心できる友だちと過ごすとか自分にとってぜったい安全な遊び方だったんですが、やってみたいと思ったらなんでもやるようになりました。
ここ数年は年に一回は海外に行くことにしているんです。
もっと魅力的になって、また会いたいなって思ってもらえる美容師になりたいです。
▲パリのルーブル美術館にて名和氏の作品を鑑賞する玉置さん。
現在の目標を教えてください。
技術もセンスもまだまだなので、どんどん新しいことに挑戦して自分の殻を破っていこうと思っています。
わたしはこの仕事をおばあちゃんになっても続けたいと思っているし、そのためにも目の前の人に新鮮なスタイルを提供しつづけたいです。
ふんわりとしたかわいらしさが印象的な玉置さんですが、お話をうかがっているともっと先へという向上心が強く頼もしい方でした。
玉置さんに髪を切ってもらった人は、彼女のそんな情熱をいちばん近くで感じられるから、また通いたくなるのではないでしょうか?
ここで紹介した内容以外にも、HairDreの紹介ページでは最近の活動風景やメニュー内容なども確認できます。
ぜひ、こちらもチェックしてくださいね。
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