- 美容師インタビュー | 2022.08.04
【京都 烏丸四条の美容室 YAYKA(ヤイカ)】「日々の幸せを、重ね続ける場所でありたい」オーナー森川 智さん
2022年4月にOPENしたYAYKAさん
長年京都のデザイナーズサロンでクリエイティブディレクターを担当されてきた森川智さんが独立OPENされたサロンです。
新店OPENに込めた想いや、目標をこれまでの森川さんの美容人生を振り返りながら伺ってきました。
京都 烏丸四条エリアの美容室YAYKAのご紹介
今回インタビューに答えてくださった森川さんが経営する京都市中京区の「YAYKA」。
2022年の4月にオープンしたばかり。
スタイリッシュな中にも独特の温かみのあるデザイナーズサロンです。
ロケーション
四条烏丸駅、河原町駅から徒歩6分/烏丸御池から徒歩5分。
六角通沿いの富小路通を少し西に入ってすぐの路面1Fになります。
インテリア
モノトーンのサロン内に真鍮のゴールドが映えるインテリアは、クールな中に温かみのある居心地の良さを感じます。
左側の漆喰の壁面はギャラリーとして作品を展示できる仕様になっており、今後様々なアーティストとの出会いの場としても活用いただける設定になっているそうです。
美容師は一生飽きない仕事だと思えた
18年以上と長きに渡って美容師として活躍している森川さん。
そんな森川さんの美容師人生はどのようにして始まったのでしょうか。
森川さんの美容師人生を紐解いていきましょう。
美容師を目指そうと思ったきっかけは何ですか?
興味を持ちだしたのは中2ぐらいですかね。
中学校に行ったらお洒落に興味を持ちだすようになって、電車やバスを使って2時間以上かけて広島市内の美容室に行きました。
その時に担当してくれた美容師さんがめちゃめちゃかっこよくて、こういう仕事だったらしてみたいなと思ったのが始まりですね。
高校に入って進路を決めないといけない中で、飽き性だったので仕事をするなら一生飽きない仕事がいいなと思って考えたときに美容師以外思いつきませんでした。
進学校に通ってたんですけど進学コースには進まず、美容師の道へ進むことを決めました。
美容学校ではどのような学生さんだったのですか?
真面目か不真面目かで言ったら、不真面目でしたね。
もう遊ぶのが楽しかったです。 クラスのリーダーをやっていて、成績に関しては悪くはないけど優秀な方でもなかったです。
学校を卒業後YAYOI~BRAINSへの入社を決めた決め手は何だったのですか?
最初は東京での就職も考えてたんですけど、仕送りがないと東京での生活は厳しい感じでした。
広島から大阪に出てきて専門学校に行かせてもらって、就職してからも面倒を見てもらうのはさすがに無理だと思って関西で探そうと決めたんです。
京都か神戸で考えてたんですけど、京都の方がクリエイションやデザイン的な部分をやっていたので京都で就職先を探すことにしました。
そして、いろいろ見学に行く中で、一番親切だったYAYOI~BRAINSへ入社を決めました。
店の顔になる!反骨心を胸に日々努力
YAYOI~BRAINSへ入社してみて、アシスタント時代に辛かったことはありますか?
街の中心の美容師さんになりたくて京都のヘアサロンに就職したんですけど、郊外の店に配属になってすごく嫌でした。
なんでわざわざ広島の田舎から出てきて、京都の田舎で働かないといけないんだろうって。
同期が10人いて他の店は一店舗に2人とか3人配属されてたのに、僕だけ一人でした。
一緒に働く同期もいなくて一番離れたサロンに行かされて、それは結構辛かったですね。
単純に周りが羨ましかったです。
ただ、それが反骨心になって頑張れた部分もあります。
悔しさもありながらアシスタントとして頑張っていく中で、何か印象に残っていることはありますか?
シャンプーやカラーの指名をしてくれて、「スタイリストになったら絶対行くね」と言っていただいたお客様が、今でもお店に来てくれていて頑張ってよかったなと思いますね。
当時はメインアシスタントでやっていたこともあって、「店の顔にならないとあかん」と思っていました。
一人でも多くのお客様に覚えてもらって、カットはできないけどカラーやシャンプーはあの子にお願いしたいと思ってもらえることを目標にやってましたね。
それはスタイリストさんからの信頼にもつながるし、信頼されると任してくれることも多くなってきますしね。
4年ちょっとでJrスタイリストデビューをされましたけど、何か変わったことはありますか?
自分のお客様を担当して指名で帰って来てくれる感覚を初めて味わえました。
それが単純にすごいやりがいを感じましたね。
わざわざ自分を指名して来たくれることの嬉しさが、スタイリストになって一番感じたことですね。
未来の自分に先行投資!美容に没頭した契機
コンテストには入社した時からチャレンジされていますが、クリエイションはいつ頃から集中して取り組まれていましたか?
▲2020年 三都杯決勝大会の様子
アシスタントの頃から取り組んでいました。
ジュニアスタイリストでデビューしてすぐ三都杯モデル部門で初めて出させて頂いて、その時にまぐれで決勝に行ったんですけど、それがターニングポイントでしたね。
決勝戦はどうだったんですか?
あたり前なんですけど何もかも自分の思うようにできなくて、情けなさと歯がゆさだけが残る苦い経験になりました。
その時に審査員だった日本を代表する美容師のDADA Cubicの植村さんから、先行投資が大事だということを言葉をいただきました。
この先の自分につながることだったら時間もお金も労力も全部投資して腹を決めてやっていこうとスイッチが入った瞬間ですね。
そこから狂ったように、美容師にはまっていきました。
その後も継続してコンテストに出場されてますが、何か見えてきたこともあったのでしょうか?
結局結果を求めてやってたら、面白くない作品になってしまって苦しんだ時期がありました。
やっぱりコンテストなので人と同じことをしてても通らない。
自分が好きなことを思い切りやりきって結果は後からついてくるぐらいの気持ちでやったほうが実際よかったですね。
自分の好きを貫くのと、人がやってないようなことをやる!
二つの気持ちが大事だなと言うのが分かりましたね。
コンテスト挑戦での苦しい経験が、サロンワークを楽しくしてくれた
▲思う結果が出ず、仲間とともに涙を飲むシーンも
コンテストに継続して挑戦し続けられるコツはあるのですか?
正直苦しいことの方が多いです。
やってて楽しいなんて思ったことないですもんね。
終わってからこんなのができたっていう喜びはありますけど、過程は面白いことなんかないですね。
楽しみながらやったほうがいいよと言われる方もいるんですけど、楽しもうと思う気持ちは大事でも、楽しいだけで出来るものではないと思うんです。
ただ、大変な経験をすることで、サロンワークは間違いなく楽しくなってくると思います。
クリエイションって結構非現実的なところもあると思うんですけど、それを経てサロンワークが変わるポイントはどういうところにあるのですか?
コンテストに出るとなったらヘアデザインやモデルさんに対しての似合わせなど、いろんな面で何ヶ月もかけて絞り出して絞り出して最高のデザインを考えていきます。
試行錯誤の労力と頭の使い方、半端ないエネルギーが必要になるわけなんですよ。
それを経験してたらサロンワークの限られた時間の中で、一人のお客様に満足してもらったり自分にしか似合わせれないデザインを提案することは、容易に自信を持ってできるようになります。
コンテストでスタイルを作るほど、そういう感覚になるんですよ。
技術が身についたことを、お客様の反応を通して実感されたことはありますか?
▲森川さんが手がけたヘアスタイル
「おまかせで」っていう人が増えましたね。
本当に全部任せてくれる人には、自分が似合うと思うヘアスタイルに思い切り切らせていただいてます。
あとは、お客様の好きな髪型を2~3個見せてもらって、似合うヘアスタイルを提案していくこともあります。
カットの際に気を付けているポイントはあるのですか?
顔周りが一番変わったと思えるところじゃないですか。
なので、顔回りのカットは結構こだわってますし得意ですね。
前髪の長さもそうですけど、ちょっとした幅の広さやサイドの髪の毛のデザインとか、その辺に自分なりの変化を加えてあげるのはよくしますね。
前髪の幅とかはお客様に言われない限りそのままでやる美容師さんも多いと思いますが、森川さんの場合はどうですか。
似合わせにだいぶ影響してくるところなので、その人の髪質や髪癖・顔立ちなどでフィットしてないと思ったら躊躇なく幅を1cm広げてあげたりします。
お客様に「こんなに変わるんだ」と実感してもらえるようはヘアスタイルづくりをいつも心がけています!
目指すは人とのつながりが生まれるサロン
独立のきっかけは何かあったのですか?
独立願望はそんなになかったんです。
選択肢の一つとして独立というのは頭にはありましたけど、こだわりはなかったです。
どんな会社とか環境でもそうだと思うんですけど、目標があるから努力するわけじゃないですか。
目標ってちょっとずつ達成していくものなので、やり続けたらだんだん目標も少なくなっていくんです。
目標設定をすることが若い時よりちょっとずつ少なくなっていき、これから自分がステップアップしていくためにどうしたらいいのか考える中で、独立して自分の店を持つのが今の自分には一番いいのかなと思って独立を決めました。
前職時代に一番やりきったなと思うことは何ですか?
お客様のカルテをどれだけ忙しくても、必ずその日に書くことですね。
カルテを書くこと自体はハードルが低いことですけど、簡単にできることだからこそ後回しにしてできないことがたくさんあると思うんです。
時間が経てばお客様との思い出は覚えているつもりでも忘れていることもあるわけで、一晩寝たら絶対に何か一つは忘れていると思うんですよ。
なので、なるべくフレッシュな記憶の状態でカルテを書く。
お客様が少ない時は当然できますけど、お客様が増えても絶対毎日欠かさずやるっていうのは誇れるかもしれないですね。
コンテストとかに出て何か達成できたとかいうことよりも、日常で当たり前にやらないといけない事を、当たり前に信念を持ってやり続けれる事の方がよっぽど大事なことなのかなと思います。
お店に対するこだわりポイントがあれば教えてください。
YAYKAというお店の名前は、二つの言葉を組み合わせているんです。
一つは「YAY」という英語のスラングで、達成感とか絶頂感を感じた時に使う言葉です。
もう一つが「八重日」と言う言葉で、日々を重ね続けていくという意味があります。
毎日喜びとか小さな達成感を感じながら一日一日の積み重ねを大事にしていきましょうというような意味で、 「YAYKA」という店名にしました。
内装でこだわったポイントはありますか?
シュッとしすぎなのもアットホームすぎるのも嫌で、冷たいと温かいのちょうど間ぐらいの内装にしたつもりです。
美容室って長い時間いるじゃないですか。
冷たくするとおしゃれ感は伝わると思うんですけど、居心地の良さを感じるかって言ったらお客様は緊張してしまうのではないかなと思うんです。
デザイナーズサロンを目指していきたいとも思ってるので、街中のおしゃれなサロンに行ってる空気はありながらも、どこか温かみがあって居心地がいい落ち着くような空間にしています。
グレーの組み合わせと真鍮の組み合わせが結構好きで取り入れていたり、店の中を明るくしたかったので光の周りが良くなるように壁と天井は漆喰で白くしてます。
あと、絵や写真を飾ってギャラリーにしたいなとも思っています。美容室に行くけどギャラリーを見て、こういう作家がいるんだなとかいろんなことを知れる機会を作りたいです。
将来的には誰かとコラボしていくことも考えているのですか?
そうですね。
周りのお店とかでも良いし、ここに足を運んだからこそ知れることがあるというような、ちょっとした人と人をつなぐきっかけみたいな感じになればいいなと思います。
今コロナだから一席一席区切るお店も多いじゃないですか。
僕はそれが嫌で全部つないで、お客様に同じ空間に居るというのを味わってほしいんです。
いろんなお客様が来てていろんなスタッフがいて、ちょっとそこで交わるのが美容室の醍醐味みたいなところもあると思います。
サービス面でここを拘って提供して行きたいとか、何かありますか?
来てもらったからには、今までよりちょっと一歩踏み込んだ似合うスタイルを提案をしたいと心がけてます。
大幅に何か変えるとかじゃなくても、YAYKAに来てくれたからここを変えてあげられたって言うのを感じて帰ってほしいです。
来た時より髪の状態が良くなったことを僕らが感じるんじゃなくて、お客様自身でしっかり感じてもらえるようにしたいです。
YAYKAを全国の人に愛されるブランドへ
今後の展望をお聞かせください。
今はYAYKAというブランドを認知してもらえるように、やっていきたいです。
もちろん京都の人もそうですけど京都以外からでも、京都に来てもらえるきっかけになるようなサロンになれたらいいなと思います。
そういうことができるサロンになれば、必然的に京都の人が来てくれると思いますしね。
当初思い描いていた美容師像と今を比べると、ご自身でどう感じていますか。
まだまだだなとは常に思ってますけど、子供の時に思い描いていた美容師像よりは上にいけていると思います。
一プレイヤーとしてがむしゃらにやってきた中では、自分がどうなるかっていう目標とか夢しかありませんでした。
これからは今いるスタッフもそうですけど人を育てて、さらに言えばそこからサロン全体の目標や夢が広がっていく。
僕の中だけの広がりじゃなくてスタッフにも広がってサロン全体に広がり相乗効果でどんどん広がっていくような、また違う感覚での夢とか目標が出てくるんだなと実感してますね。
「一日一日の積み重ねを大事にしていく」。
YAYKAのサロンに込められた思いは、正に森川さんの美容師人生を体現しているようにも思えます。
「しんどいことが多い」と話しながらも日々努力を欠かさずコンテストへ継続的に挑戦し、どれだけ忙しくてもお客様のカルテは必ず当日に書くなど、小さなことにも手を抜かず毎日真摯に美容師の仕事に向き合い続けてきました。
そうやって自分と向き合い日々努力を重ねてきたからこそ、アシスタント時代からシャンプーやカラーの指名を受けるなど早くからお客様からの信頼も獲得できたのではないでしょうか。
細部にまで、手を抜かず丁寧にこだわって髪型を作ってくれる、そんな美容師さんにお任せできたら良いですよね。
森川 智 さん プロフィール
- 京都のデザイナーズサロン、YAYOI~BRAINS にてクリエイティブディレクターを2018年より担当。
同サロンのキービジュアルや雑誌プレス向けの作品創り、セミナーやヘアショーなど幅広く活躍。
カメラワークにも積極的に取り組まれており、モデルの個性に似合わせたサロンスタイル撮影は定評を得ている。 - 2021年4月 独立、YAYKA オープン
- 受賞
- 2019 ルベルデザインアワード ゴールドプライズ
- 2019三都杯デザイナーズコンテスト ファイナリスト 他多数
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